マラリアでは、アフリカを中心に世界で年間5億人が感染し270万人が死亡しています。新しい予防薬も開発されていますが、これまでのワクチンや殺虫剤は、年々効き目が薄れてきていると指摘されています。
サヘル地域にも熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリアがあります。このうち一番危険なのが熱帯熱マラリアで、治療が遅れると死亡することもあります。
(マラリアについてのより詳しい情報は、マラリアウェブやMALARIA)をご覧下さい)
このマラリアの予防・治療に関する大きな進歩のニュースがありました。
マラリア原虫と、これを媒介する蚊であるハマダラカの一種のゲノム(全遺伝情報)が、別個の国際研究グループにより解読され、3日発行の英科学誌「ネイチャー」、4日発行の米科学誌「サイエンス」にそれぞれ発表されるそうです。
米ゲノム研究所などは4種類いる原虫の中で最も重い熱帯熱マラリアを引き起こす「プラスモディウム・ファルシパルム」という原虫のゲノムを解読した。原虫の5,300ある遺伝子(約2,300万塩基対)の中に突然変異を起こした遺伝子があるのを発見し、この遺伝子がワクチンに対する強い抵抗力を生じさせていることを突き止めまたとのことです。(NHKニュース「マラリアの遺伝子を解読」ほか)
また米セレラ・ジェノミクス社などは、主要な媒介蚊であるハマダラカ属のガンビエハマダラカを調べ、14,000ある遺伝子の中に毒素を分解させ殺虫剤の効果を薄れさせている複数の遺伝子を見つけたそうです。
毎日新聞「マラリア原虫のゲノム解読 薬剤開発で根絶に期待ほか)
これらの発見は、新たなワクチンの開発や媒介となる蚊の根絶にもつながる貴重な研究成果として注目されています。
サヘルでもたくさんの人たちが、毎年マラリアに苦しんでいます。マラリアでなくなる子供たちもいます。
サヘルで、マラリアのない暮らしができる日が来ますように。
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