週刊モーニングに、たなか亜希夫の「Glaucos(グロコス)」というマンガがあります。
グロコス(グラウコス)は、ギリシア神話の海神の名前ですね。
もとは貧しい漁師でしたが、その上に置いた魚が生き返るのを見て口にした薬草により、上半身は人間、下半身は魚の姿をした海神となったそうです。
さてマンガの方は、海中で生まれた青年の物語です。
彼はとても長く潜っていられる。その秘密を確かめようと精密検査を受けさせると、無呼吸状態で血中酸素濃度が限界近くまで低くなったあと、再び血中の酸素濃度が増大する。それは彼の大きな脾臓によるらしい、という話がありました。
この話を読んで、以前私も、脾臓が大きいと言われたことを思い出しました。
脾臓は、左わき腹の上の方、肋骨の下あたりにあります。
右うしろに腎臓、横に横隔膜に、前は胃があります。
わかりやすく言えば肝臓の反対側ですね。
脾臓の働きは4つあるそうです。
1.血液の濾過:老化、あるいは病的変化した赤血球を壊して新しい赤血球の材料にします。
2.異物の処理: からだの抵抗力のために働く細胞が抗体を作り、からだのなかに入ってきた細菌などの微生物の毒素を中和します。この働きは特に子供で強く、大人になってからは脾臓を摘出しても大丈夫ですが、子供の脾臓の摘出は非常に危険だそうです。
3.造血:これは胎児期だけのようですが、お母さんのお腹の中では、肝臓と脾臓が血液を作るんだそうです。生まれてからは骨髄がその役目を取って代わります。しかし骨髄の病気などで骨髄で血が作れなくなると脾臓が血液を作るようになることがあるそうです(髄外造血)。
そしてマンガ、グロコスにつながるのは次のよっつめの働きです。
4.血液の貯留
人では微々たるものですが、犬の場合血液の30%が脾臓に貯留されていて、必要に応じてそれが使われるそうです。人間では、血小板の30%が脾臓に貯留されているとのこと。
食事したあとすぐに走ると左横腹が痛くなるのは脾臓のこの働きに関係があるそうです。
つまり食べ物を消化するために血液が消化器に集まっている(だから脳の血液が少なくなり眠くなる)ところで、走ると手足の筋肉が多量の血液が必要とするので、脾臓が血液を補充しよう収縮するのがこの腹痛の原因だそうです。
脾臓の働きについて参考にさせていただいたサイト:
・ 「脾臓」って何?
・西伊豆町広報516号こんにちは保健婦です
グロコスの主人公の青年は、大きな脾臓が多量の血液を貯蔵しており、血中酸素が不足してくると、脾臓が血液を送り出して酸素濃度の不足を補うわけですね。
グロコスは始まったばかりのマンガで、これから話が進む中で主人公の脾臓についてまだまだ語られそうで、楽しみにしています。
さて私の脾臓も、そんな素晴らしい働きを持っているために大きいのでしょうか。
残念ながらそうではなく、単にマラリアにかかったせいらしいです。
マラリア原虫は,赤血球中で無性生殖により分裂増殖し、その赤血球を破壊してさらに別の赤血球に侵入する。この繰り返しがマラリアの基本的臨床症候のもととなる。 良性マラリアでは、感染赤血球率が全赤血球数の1〜2%をめったに超えないのに対して、熱帯熱マラリア原虫はどの赤血球にも無差別に侵入するため、この感染率は高く、感染赤血球の割合が10%を超えると、重篤な症候を引き起こす。引用元:マラリアの病態生理と症候
以上がマラリアと赤血球の関係。
そして先程書いた1番目の血液の濾過に関わるところで、こんな説明があります。
「脾臓」って何? 老化した赤血球ばかりでなく、病的変化をした赤血球も処理されるので、脾臓はいわゆる「赤血球の墓場」なのです。 病的赤血球が増えて脾臓で処理する量がふえると、脾臓が大きくなります。
つまり脾臓は、マラリアになると、マラリアで壊された赤血球を濾過し、新しい赤血球の材料を作るために分解処理しますが、私の場合、これがオーバーロードして脾臓が大きくなったわけです。
ところで、脾臓が大きいと診断されて数年経つんですが、脾臓は元に戻っているのかなあ。
大きいままでも、まあちゃんと働いてくれていればいいんですが。
グロコスの主人公みたいな、素晴らしい働きまでしてくれるようになっていたりして。
脾臓って、赤いヒルみたいな、ちょっと見た目が気持ち悪い臓器…ですよね。
位置的には、人間も変わらない場所にあるんですね…腎臓取る時いつも脾臓が邪魔になるので。
働きを知らなかったので、とても勉強になりました。
ありがとうございます。
投稿情報: luzie | 2003年9 月23日 (火) 19:48
脾臓ってちょっと青っぽい赤色ですかねえ。
> 腎臓取る時いつも脾臓が邪魔になるので。
って Luzieさん、なんの腎臓をいつも取ってるんですか?(ドキドキ)
投稿情報: jujube | 2003年9 月24日 (水) 17:45
初めて投稿させていただきます。昨日、パトリオット・ゲームと言う洋画をテレビで見ました。
主演 ハリソンフォード、1992年製作のアメリカ映画です。この中でテロリストから逃れようとして交通事故を起こした母と娘が重症を負いますが、幸いより重症だった娘は脾臓摘出手術を受けて一命をとりとめます。その後テロリストが主人公に電話で、脾臓を取ると免疫が落ちるぞと脅す場面がありました。
私にとって脾臓がどんな働きをするのかあまりなじみが無かったので、今日インターネットで調べていたらこのサイトに出会ったわけです。
脾臓は幼児が摘出すると危ないことがわかりましたが、映画の中の娘さんはまだ学校へ上がるかどうかぐらいの年頃でしたので、将来どうなるのか心配してしまいます。
投稿情報: 三春勝正 | 2003年10 月 3日 (金) 17:53
こんにちは。
>腎臓取り
別に食べるためとか、臓器集めが趣味(笑)とかじゃなく、
実験で使ってるだけです。
医者でも獣医でもないので、ほんとに取るだけですが…。
怖い人でもヤバイ人でもないですよv
投稿情報: luzie | 2003年10 月 7日 (火) 20:27
書き忘れ…何やってるんだろう私。
動物はマウスです。
腎臓を取ろうとお腹を開けて腸をよけると、
脾臓がくっついてきてちょっと邪魔なんですよ。
投稿情報: luzie | 2003年10 月 7日 (火) 20:30
マウスの解剖で、脾臓をよく取るのは、他の臓器と比べて見やすいからでしょうか?
投稿情報: たけ | 2003年11 月24日 (月) 23:03
食べるために、ヒツジやヤギはたくさん解体した経験がありますが、マウスの解剖はした事がありません。
というわけで、マウスの解剖でなぜ脾臓をよく取るのか知りません。
すみません。
投稿情報: jujube | 2003年11 月25日 (火) 06:43
こんばんは。とりとめもないですが、脾臓を摘出してます。溶血性貧血があって、脾臓が大きくなっていたのも事実ですが、なんと、脾臓が腫れていたせいか、駐車場で転んで、左わき腹を強打したために脾臓が破れてしまいました(涙)いまはもう平気で過ごしていますが、左わき腹を20センチほど開腹手術のために切ってます…
投稿情報: とむ | 2004年6 月15日 (火) 19:54
こんにちは。私の息子も特殊なタイプの溶血性貧血で、見た目に分かるくらいに脾臓が腫れ上がり、2年前、3歳の時に全摘しました。免疫力などが下がるのも分かっていましたが、1ヶ月に2〜3回行わなければならない輸血を考えると将来がとても心配で全摘を決意しました。
幼児の脾臓の摘出はやはりかなり危険なのでしょうか?採ってしまってから改めて考える毎日ですが・・・
投稿情報: ミー | 2004年7 月10日 (土) 12:44