今回の「騒擾(そうじょう:在仏日本大使館が今回の事件をこう表現していました)」から、フランス人や在仏あるいは日本国内の日本人にも、イスラム教は、アラブ人は、あるいはムスリム(イスラム教徒)はやっぱり怖い、と改めて思われているのでしょうね。
それがとても残念です。
1.アラブの印象
それから日本人の私たちにはとても恐ろしい事実があります。
(中略)
2.アラブ人がヨーロッパに住むようになって起きたこと。
イスラム教徒の青年期の通過儀礼としてフランスの都市で起こった輪姦。これはヨーロッパのほかでも見られること。女性を支配するというイスラム文化を受け入れられないヨーロッパの現実がある。多文化主義は認められない。
引用元:ブンゴーの日記 人生はすばらしい in Greece !: 欧州アラブ人内戦の幕開けか?
暴徒がじゃなく、アラブ人が自分の生活圏にいること自体が恐ろしい、といわれると・・・
穏健なアラブ人(こちらのほうが圧倒的多数だと思います)の人たちがかわいそうです。
ユダヤ系チュニジア人とかも、肩身が狭いでしょうね。
2.イスラムの印象
「イスラム教徒の青年期の通過儀礼としてフランスの都市で起こった輪姦」
_| ̄|○ ...(註:礼拝中じゃないです、がっくりうなだれているんです)
通過儀礼は宗教的儀礼じゃなくて文化的行為ですよね。
(それから、アラブ人が住むようになって・・・という流れの中で書かれていますのでアラブとイスラムの混同もされているようです)
ですから、これは宗教と文化を混同された上での偏見ですが、それにしてもイスラム教はそこまでひどい宗教だと思われているんでしょうか(しくしく)
輪姦なんて、イスラム教では絶対に認められていません(宗教的規則を全員が守っているかは別問題)。
イスラム法の国だと輪姦はまず死刑になるんじゃないでしょうか。
「多文化主義は認められない。」
これが、アラブ文化についておっしゃっているのか、イスラム文化についておっしゃているのか不明ですが、イスラム教の経典クルアーン(コーラン)の中にこうあります。
あなたがたには、あなたがたの宗教があり、わたしには、わたしの宗教があるのである
(第109章『アル・カーフィルーン』第6節)
イスラム教は、他者に強制するものでは決してありません。
それが「右手にコーラン、左手に剣」と暴力的、強制的なイメージをもたれているのは残念です。
「パックス・イスラミカ」と呼ばれ、紀元後8世紀から16あるいは17世紀まで、文明的にも世界を席巻していたイスラム文明は、イスラムの純粋性の追求から生まれたのではなく、むしろイスラムの寛容性から形成された、ということができよう。つまり、東は中国からインド、西はエジプトそしてペルシアやギリシア・ローマの高度な文明をイスラムという一つの土壌において融合、再構築したものがいわゆるイスラム文明であったはずである。とすれば、教条主義的なイスラム主義、つまりイスラム至上主義以外にも、異質なる共存やその融合を可能にさせたイスラムの思想的な可能性が存在したはずである。
そして、むしろこの点に着目するならば、イスラムの歴史は諸文明の融合、創造に積極的な役割を果たした寛容の宗教の歴史と見ることも可能となり、彼等との共存共栄、少なくとも対話の可能性は十分存在する。
引用元:イスラム教とヒンドゥー教との対話
「女性を支配するというイスラム文化」
という認識についても異論はありますが(妻もそういってますが)、宗教とその実践、各国、各地域の慣習はまた違いますし、私には議論しきれませんので疑問を提示するだけでごめんなさい。
また、上記の投稿や、同じブログのそれ以前の投稿では、今回の騒擾を起こしている暴徒が、しばしば「イスラム系」という見方でくくられていました。
これも非常に残念に思いました。
しかしその後
時間がたたないと背後関係がわかりませんが、分かっていることはこの北アフリカ系フランス人暴徒たちにはイスラム教のアイデンティティはないということです。
先ず仲介を申し出たイスラム教のお坊さんたちの話なんて、コレッポッチも、コレッポッチにも聞く耳持ちませんでした。まぁ馬に念仏で通用しなかったのです。。
引用元:ブンゴーの日記 人生はすばらしい in Greece !: フランスの暴徒たち
あのむちゃくちゃな行動は、イスラムの行動原理に基づくものではない、彼らはイスラムに基づくアイデンティティで行動しているわけではないと理解していただいたみたいですね。
この見直しはとても嬉しかったです。
3.アラブとイスラムはイコールじゃない
しばしばアラブ=イスラムと考えられ、アラブ文化とイスラム文化も混同されています。
しかし、セネガルにはイスラム(の影響による)文化がありますが、それはアラブ文化とはまったく違います。
インドネシアやマレーシアの文化もそうです。
アラブ=イスラムと考えると、キリスト教徒のレバノン人とかコプト教徒のエジプト人とか、かわいそうですね。
アラブやイスラムに対する誤解や偏見も、少しずつなくなっていけばいいなあと、思いました。
ところで、たまたまmadokaさんのブログを例として書かせていただきましたが、madokaさんだけを批判しているわけではありません。
「普通」の日本人の見方・考え方は大体madokaさんと同じだと思います。
そういう一般的な理解に対して意見が述べたくて、一例とさせていただきました。
この点どうかご理解ください。
madokaのブログは、私が気がつかなかった視点や考え方がたくさんあって、いつも勉強させていただいています。
最後になりましたがお礼申し上げます。
はじめまして。私のブログを取り上げてくださってありがとうございます。
私は海外に住んでおります。
たくさんの移民の方たちと接する機会があります。
私は結婚して海外に住むことになり、私の意思でこの国に住んでいます。
私は招待されてきたのではないのです。移民と同じです。
もしも気にいらなかったら、この国の文句を言うなら、
パックアンドゴーと言われております。
差別はどこでもあります。
奥様は私と同じ立場だと思います。
お互いに頑張りましょう。
以前はうちの連れ合いには、私がこちらの世間の文句を、一方的に言っていました。
今は嫌だったことにもなれました。
投稿情報: madoka | 2005年11 月13日 (日) 11:50
madokaさん、コメントありがとうございます。
フランスの、対話を否定する暴力は反対です。
ただ一部の人々の行動で、その他大勢が批判されている部分について、疑問を述べさせていただきました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
投稿情報: jujube | 2005年11 月13日 (日) 17:14