物欲に流されている毎日。
読んだら涙が出てきました。
ある国で、一人のおじいさんが息を引きとった。
彼は橋守りだった。
毎日、決まった時間になると
レバーを引いて橋を上げ下ろしするのが
彼の仕事だった。
仕事が終わると酒場でビールを一杯飲んで、
家に帰っておばあさんが作ってくれる夕食を食べるのが日課だった。
彼は若い時から何十年もその生活を繰り返し、
やがて、おばあさんお隣で、ひっそり息を引きとった。そのおばあさんはこう言った。
「彼はすばらしい生を生きた。」
「彼の人生はとても豊かだった。」人より良い生活をしたいと望む欲望には際限がない。
常に上を求める心は、けっして満たされない。
でも、満ち足りることを知る生は、
それだけで豊かなんだ。
そういう人生を豊かだと思える国こそ
本当に豊かな国なんだ。
『ハルノクニ』
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