昨日は外に出ました。
水田の土手にたくさん彼岸花が咲いていました。
緑や茶色の中にその赤は、染みるように映えていました。
ご存じのように、この花の球根(鱗茎)は有毒ですが、よく晒せば食べられます。
再生能力も強いので、田端のまわりによく咲いています。
ですから、かつて飢餓の時には、この根は非常食にされたそうです。
しかし今の日本で、飢餓の苦しみはもう過去のものです。
この根を掘り集め、何度も晒して、食べた記憶は、もうすぐ忘れ去られてしまうでしょう。
私自身、頭の中の知識だけで、彼岸花の味は知りません。
サヘルでは、たとえ砂漠化が進んでいてもいなくても、人口の増加と土地の疲弊から、慢性的な飢餓は今も確かに起こっています。
そのため、耕作して収穫した穀物が足りない地域が毎年あちこちで発生しています。
時には、収穫しても、それが耕した人の口に入らず、ほかの地域に運ばれて売られてしまう状況もあります。
そんな時、サヘル地域の人々はいろいろな工夫を凝らします。
いつもは細かく粉食にして加工する雑穀(トウジンビエやコーリャン)を荒搗きすると腹持ちがよくなります。
甘くないスイカ(キュウリのような感じです)の種を粉にしたものはまるできなこのような味です。
自然に生える草の種を集めます。(集めるのはとても大変です)
いろいろな木の実も食べられます。
でも主食代わりになる木の実はそれほど多くありません。
いくつかの樹木の葉も食べられます。バオバブの葉も食べられるんですよ。
サバンナから熱帯に近いところまで行くと、毛虫や羽蟻(ハネカクシ)も食べます。
日本で彼岸花を見ると、サヘルの食糧事情の厳しさと、それを乗り切るための人々の経験と知恵の豊かさ、そして私も食べたそれらの味を口の中に思い出します。
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