世界的に人気の高い果物の1つであるバナナが長年にわたり繁殖しておらず、このままでは将来絶滅する恐れがある、との学説が発表された。
発表したのはフランスのモンペリエに本拠をおく「バナナ・オオバコ改善国際ネットワーク」のトップで、ベルギー出身の植物病理学者エミル・フリゾン氏。
同氏は、バナナは繁殖能力も種子も持たないため、科学的な力を借りなければ今後10年以内に絶滅する可能性がある、と指摘する。
バナナには、現在バナナ農園に蔓延している病気や害虫を克服するための遺伝的な多様性が欠如しており、この状況を救えるのは生物的・遺伝的な操作しか考えられない、という。
この学説を紹介した英科学誌「ニュー・サイエンティスト」は、「フリゾン氏は(科学が)バナナにとって唯一の希望、との見方を示している」と記述。
もし科学的な助力がなければ、バナナの生産は減少し、絶滅への第一歩が刻まれる可能性がある、という。
同誌は、「飢餓に苦しむ人々や貧困にあえぐ人々の命を救うとともに、世界のスーパーマーケットの棚の常連であるバナナが、絶滅する可能性さえある」と付け加えた。
引用元:goo [ニュース] バナナが10年以内に絶滅も、科学的な助力ないなら=学説
この話題は今年1月頃、ウェブ上で大きな話題になっていましたね。
しかし、バナナの品種は何百種もあるはずで絶滅すると言うことは、全種が同じルーツのクローンだったのかとびっくりして、調べてから書こうと思ってそのままになっていました(汗)
しかしその後、エミル・フリゾン博士自身が、やはり「絶滅などと絶対に言っていない」とおっしゃったそうです。
1950年代、欧米で人気のあったグロミシェルという品種にパナマ病が流行、輸出市場から姿を消した。ただアフリカや南米では今も地元消費用に栽培されている。
今度のパナマ病は新型で、日本や欧米で人気のキャベンディッシュという品種に感染する。「輸出量の多い中南米に広がると、前と同じ道をたどるかもしれないと言っただけ」(フリゾン博士)
バナナの品種は500以上。年間生産量は計約8500万トン。輸出されるのは13%で、キャベンディッシュはさらにその10%。それが消えても「絶滅」にはほど遠い。
引用元:ZAKZAK
高収量性ばかりを追求すると、品種改良の過程で元来持っていた種の抵抗性が落ちることはよくあります。
「緑の革命」で有名な「IR8」も抵抗性の問題がありました。
コシヒカリもいもち病に弱く、1993年の冷害ではコシヒカリと亜種にいもち病が広がり、大きな被害がありました。
今回のバナナ絶滅は幸いなことにから騒ぎでしたが、どんなに素晴らしい品種でもそれに集約させてしまうことのリスクを、改めて私たちに認識させてくれたと思います。
このリスクの解決方法のひとつは、高収量・高品質だけを追求するのでなく耐性を考慮した品種改良でしょう。
しかし、それは病原体の突然変異には抵抗できません。
品種改良は、問題との永遠のいたちごっこかも知れません。
環境が不安定なサヘル地域では、同じ畑にいろいろな穀類を植えて、旱魃あるいは冠水、特定の害虫や病気のリスクから、作物が全滅しない工夫をしているところがあります。
高投資・ハイリスク・ハイリターンではなく、低投資・ローリスク・ローリターンの農業です。
このような考え方を私たちも改めて学び、多様性におけるリスクの低減という方法を様々な生産活動の中でもっと検討すべきなのではないでしょうか。
バナナが絶滅ですか。
バナナ好きなので残念です。
投稿情報: 花好き | 2005年3 月13日 (日) 07:02