「今後のイラクでのビジネス展開や、宣伝効果を考えての値引き合戦だったのでは」と政府関係者は話している。
これを読んで、サヘルの四輪駆動車の車種の変遷を思い出しました。
1970年代までは、北・西アフリカの国々ではどこもイギリスのランドローバーが、一番普及し信頼されている四輪駆動車でした。しかし日本の車メーカーの攻勢があり、次第に勢力図が変わり始めました。
私がサヘルに通い始めた1980年代前半には、多くの国でトヨタのランドクルーザーの評価が非常に高くなっていました。
しかし当時はまだそのパーツが十分普及しておらず、ランドローバーのシリーズ3が一番多く見かける車種でした。この頃でもモーリタニアなどでは依然シリーズ2も見かけました。
また国毎に日本の車メーカー各社の国毎の力関係が違ったようで
- モーリタニア:ISUZU Trouper (日本名ロングホーン)
- セネガル:MITSUBISHI Pajero
- マリ、ニジェール:TOYOTA Land Cruser
- アルジェリア:NISSAN Patrol (日本名サファリ)
と国によってよく見かけるメーカー、車種が違っているのが興味深かった記憶があります。
セネガルでパジェロがよく売れていたのは、やはりパリ−ダカール・ラリーでの知名度と、その拠点(結果の出るゴール)として三菱が力を入れたことによるのでしょうね。
そのほかの国でも、パーツを豊富に持つ代理店や修理工場を持っているメーカーの評価が高かったと思います。ただ、そういう設備を確立するまでには、いろいろな政治的な動きもあったのだと思いますが。
1980年代後半、マリでNGOのスタッフとして働き始めた頃、そのNGOが買った四輪駆動車がランドローバーのシリーズ3(中古車)でした。
これは修理工場のない地域で使うため
・構造が簡単で直しやすい
・パーツがマリ中どこでも入手しやすい
・安かった (^_^)
という理由でした。
私自身は、車の構造や運転に秀でているわけありませんが、乗りやすい車だと思いました(ギヤ比の違いからかランドクルーザーよりスピードは出ないなと思いましが)。
砂漠の運転では、柔らかい砂の中でスタックしないように走ることが重要でした。
二駆ではトラクションが足りずスタックしそうな時、2速くらいで車を走らせたまま、クラッチを切って二駆から四駆の切り替え、回転数を合わせてミッションとクラッチをつなぐ、というような動作が、二駆と四駆の切り替えが、上下プッシュ式のレバーのランドローバーでリズム良くできました。
そんな愛着のあるランドローバーでしたが、90/110シリーズ(後のディフェンダー)になると、市場は完全にランドクルーザーに席巻されていきました。
1980年代後半、ランドクルーザー70系が登場すると、サヘルでは quatre-quatre(4X4) と言えばこれ、というくらい知名度の高い車になっていました。
一方40系も、パーツの豊富さから70系が出た後も長く支持されていました。
アルジェリアとマリやニジェールを結ぶ砂漠の密輸業者はFJ56という60系の前身もお気に入りでした。
1989年でしたか、マリからフランスに出た折、パリでランドローバーのディスカバリーという車種を見た時には、マリで乗っていたシリーズ3とのギャップにびっくりして記憶があります。
このモダンなフォルムでローバーも巻き返しを図ろうとしたのでしょう。、それはヨーロッパでは受け入れられたようですが、質実剛健な車種の好まれるサヘルでは、予想通り普及しませんでした。
お金持ちにはレンジローバーやメルセデスの四駆も人気の車種でした。
フランス軍がメルセデスの四駆(MLシリーズじゃなくてゲレンデバーゲン)そのままで、プジョーのライオンのエンブレムの着いた四駆を使っていたのには驚きました。
最近サヘルでは、トヨタのランドクルーザーの100系とプラドが人気のようですね。
しかし、電子化の進んだ車は故障した時、どうにもなりません。ですから、サヘル、特にサハラ砂漠に近い地域で使う時には、あまり先進的な機能満載の車よりもシンプルな四駆に乗りたいと思います。
といいつつ、フォルクスワーゲンの出した最新の四駆には一度乗ってみたいなあと思ってしまいます。
だって、名前が「トゥアレグ」なんですから。
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