まずはこの地図をご覧になってください。
眉毛まである右目に見えませんか?
これは、モーリタニアにあるRichat Structure(リチャット構造体 or リシャット構造体)と呼ばれている地形です。
・西アフリカにおける位置関係
現地の名称やフランス語の地名に近いのはリシャットですが、表記の英語式発音のリチャットという名前の方がよく通っているようです。
この地形の現地での名称は、Guelb er Richat。
岩地の丘というような意味です。
リシャット構造体は、地球の目とかサハラの目とも呼ばれています。
「サハラの目」を初めて宇宙から見たのは、1965年6月にジェミニ4号に搭乗したふたりの宇宙飛行士だそうです。
・黒目の部分アップ
この地形図は、起伏がよくわかるように垂直方向が6倍になってます。
白目に当たる部分(黒いですが・・・)は周囲の砂漠より200mほど高い高台で、その中に直径数十kmの窪地があります。
その窪地に同心円上の山が幾重にも重なる地形のリシャット構造体があります。
私がはじめてリシャット構造体を知ったのは、1981年、ミシュランの西アフリカの地図でのGuelb er Richatという表記でした。
この時は、あ、こんなところに低い山があるんだな、というくらいの認識でした。
しかし、1983年、サハラ砂漠をラクダで横断しようとモーリタニアの精細な地図を収集していて、この地域の20万分の1の地図を見て驚きました。
地球上に、サハラの奥地に、こんな面白い地形があるのか、とわくわくしました。
ラクダの旅の途中で立寄りたいと思いましたが、その先にはポリサリオ戦線の傷跡の地雷が埋まっている地域があると聞いて旅の方向を西に変えてしまいました。
ところでこれまで、これは大きな隕石が衝突してできた地形に違いないとずっと信じていました。
しかし訪れてみたいなと、Guelb er Richatという地名をインターネットで検索して驚きました。
リシャット構造体という呼び名と、調査の結果これは隕石の衝突でできたものではない、ということを知りました。。
火山活動によると書いているサイトもありましたが、もっと調べてみると、火山活動によるものでもないといろいろなサイトに書かれていました。
この不思議な地形の基盤は、およそ6億年前、古生代初めの頃の岩石だそうです。
それが造山活動を経て、風化や侵食によって、風化や侵食に強い部分が山、柔らかい部分が谷になり、標高差100mの同心円状の地形が作られたとのことです。
しかし、なぜあれほど真円に近い同心円状なのかは未だにわからないそうです。
不思議なリシャット構造体、いつか必ず訪れてみたいと思います。
参考URL:宇宙をにらむサハラの目
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